学力調査から見る課題 第3回 「情報の扱い方」の定着率に課題! ―― 東京書籍「標準学力調査」の結果から

2024.8.28

学力調査から見る課題

第3回 「情報の扱い方」の定着率に課題!
―― 東京書籍「標準学力調査」の結果から

こくごスタジオ編集部

このコーナーでは小学校国語に関わる学力調査の結果を分析し、そこから見られる課題をもとに、先生方の指導改善のヒントになる情報をピックアップしていきます。

今回は第3弾となります。これまでに「修飾語」「辞書の使い方」を取り上げてきましたが、今回は「情報の扱い方」に注目します。

「情報の扱い方」については、平成29年度告示の学習指導要領において新設されたもので、全国学力・学習状況調査でも、令和5・6年で「知識及び技能」の選択式の問題として出題されています。東京書籍が全国で実施している「標準学力調査」でも「思考・判断・表現」の内容と合わせて毎年出題している内容となります。

それぞれの調査結果から、複数の資料から書くべき内容(情報)を取り出し、それを一つの文にまとめて書く、という問題において課題があることが分かりました。これは、5・6年「書くこと」(1)ウ「目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりするとともに、事実と感想、意見とを区別して書いたりするなど、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫すること。」の事項に加え、5・6年〔知識及び技能〕(2)ア「原因と結果など情報と情報との関係について理解すること」に該当するものです。

令和3年度標準学力調査3学期版での「情報の扱い方」の出題内容は、以下の通りです。(ここでは、実際に出題された問題を簡略化して掲載しています。)

保健委員の○○さんは、調べたことをもとに、「目を大切にしよう」というテーマでポスターを作成しています。次の【眼科のホームページの一部】と【ポスター案】を読んで、あとの問題に答えましょう。

【眼科のホームページの一部】

【眼科のホームページの一部】

【ポスター案】

【ポスター案】

(2)
 ○○さんは、パソコンなどの長時間の利用によってものが見えにくくなる理由を【ポスター案】の   ア   に書くことにしました。そこで、あとから見つけて読んだ、下の【本の一部】の内容も取り入れて書こうとしています。  ア   に入る文を、あとの〈注意する点〉にしたがって書きましょう。

【本の一部】

【本の一部】 ※標準学力調査では縦書きです。

〈注意する点〉

・【眼科のホームページの一部】と【本の一部】をもとにして書きましょう。

・四十字以上、五十字以内で書きましょう。

⇒正答例:

(例)まばたきの回数が減り、なみだの量が不安定になって、目の中に光が正しく入らなくなるからです。〈45字〉

(結果正答率)61.8%

出題のねらい:

情報と情報との関係について理解し、目的に応じて、文章を簡単に書いている。

指導事項:

5・6年〔知識及び技能〕(2)ア、5・6年〔思考力、判断力、表現力等〕B(1)ウ

類型1:正答(61.8%)
類型2:【眼科のホームページの一部】と【本の一部】の内容のうち、どちらかの内容を正しく書いていない場合(22.6%)
類型3:上記以外の解答(8.8%)
類型4:無解答(6.9%)

正答は61.8%と、記述式にしては比較的高い正答率でしたが、類型2の「【眼科のホームページの一部】と【本の一部】の内容のうち、どちらかの内容を正しく書いていない場合」が22.6%と、約5分の1以上の児童が「取り出した情報を正確に書けていない」という結果になりました。

では、本問のような「情報の扱い方」と「書くこと」の能力を定着させるには、どのようにしたらよいでしょうか?

この問題で言えばまず、【眼科のホームページの一部】の情報に加え、【本の一部】の情報を比較して、【本の一部】から得られる新たな情報を識別しなければならないところがポイントです。

その後、

①【本の一部】の情報と【眼科のホームページの一部】の情報とを組み合わせる

②記述する内容とその順序を決定する

③条件に合わせて記述する

という3段階の工程を経て解答することになります。

特に、この問題の場合、①で【本の一部】からどのような情報を選び取るかが重要です。問題文で「パソコンなどの長時間の利用によってものが見えにくくなる理由」を、「保健委員会のポスターを見る人に向けて書く」ことが求められていますので、その目的に応じて、必要な情報を資料の中から選択し、その情報を操作しながら条件に合わせて書く力があるかどうかが、この問題によって明らかになります。

「書くこと」を苦手にしている児童は、考えたことをそのまま書いたり、順番を整理せずに書いたりする傾向がありますが、そんな場合にこそ「情報の扱い方」が大切になります。読む相手に分かりやすく書くためには、取り上げた情報について関係性を見つけたり、整理してまとめたり、論理的に考えたりすることが必要となるからです。

ふだんの授業の中で、「読む」ことから「書く」ことへの接続も考えながら、「複数の教材を類比したり対比したりしながら情報を精査する力」や「目的や相手に応じて必要となる情報を厳選する力」について、定着させていくことが重要です。また、国語だけでなく他教科や総合的な学習の時間などでも、情報を精査・選択する場面は多くあります。そうした機会を活用して日常的に指導していくことも大切です。

なお、過去のこくごスタジオ記事「先生が語る『新編 新しい国語』④ 新教材「情報のとびら」では、教科書教材を使った「情報の扱い方」の学習について書かれています。ぜひ合わせてご覧ください!

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