読書案内 先生のおすすめ図書紹介 第1回

2024.7.24

読書案内

先生のおすすめ図書紹介 
第1回

大久保亨(大阪教育大学附属天王寺小学校教諭)

髙橋茉由(秋田大学講師)

中野紗耶香(国分寺市立第三小学校指導教諭)

毎日の指導に迷ったとき、悩んだとき、先生たちはどんな本を読んできたのだろう。おすすめの本を教えてもらいたい! 今回は、小学校現場や大学で教えていらっしゃる先生3名に、国語教育に関する本とそれ以外のおすすめの本をそれぞれ1冊ずつご紹介いただきました。

まずは、大阪教育大学附属天王寺小学校 大久保亨(おおくぼとおる)先生に、おすすめの本をご紹介いただきました!

大久保亨(おおくぼとおる)先生

左・『読書教育を学ぶ人のために』(山元隆春/編 世界思想社 2015)

「子どもと本の出合いをいかに演出するか」

読書嫌いの子どもや国語嫌いの子どものためにできることはないかなと悩んだとき、この本に助けられました。たくさんの魅力的な「本との出合い方」が紹介されています。

ブックトークやアニマシオン、読書会など、耳にしたことはあるけれど、実際に取り組んだことのある先生は少ないのではないでしょうか。

また、実践例が列挙されているだけでなく、実施する手立てが子どもの何を刺激し、どんな能力を育むのかについても述べられているので、汎用性が高いです。読書・国語教育の魅力がぎゅっと詰まった一冊です。

右・『やり抜く力』(アンジェラ・ダックワース/著 神崎朗子/訳 ダイヤモンド社 2016)

あまり自己啓発本の類は読まない私ですが、この本のタイトル「やり抜く力」には常日頃から悩まされていることもあり、手に取りました。

この本では「やり抜く力」を「内側」と「外側」から伸ばすという2つのアプローチで提案してくれています。当初、親でもあり教師でもある私は「外側」こそ必要かなと思いましたが、なるほど「内側」からの伸ばし方、特に興味と目的という聞き慣れた言葉にひかれました。

「やり抜く力」は、子どもたちの「内側」にある、さまざまなことに興味を抱くアンテナと挑戦するマインドを醸成することが基盤にあるそうです。そういった「内側」に目を向けることで、「外側」から私たち大人にできることは間接的な支援ではないかと痛感しました。

大人が子どもたちにかける言葉の「使い方」と、道具や情報の「見せ方(魅せ方)」が変われば、子どもたちの情熱が燃え上がるかもしれません。ぜひ、ご一読ください。

続いては、秋田大学 髙橋茉由(たかはしまゆ)先生に、おすすめの本をご紹介いただきます!

髙橋茉由(たかはしまゆ)先生

左・『見つめる力・発見する力を育てる児童詩の授業―山際鈴子の授業を追って―』(児玉忠・大阪児童詩の会/著 銀の鈴社 2011)

詩の創作の授業はどう指導したらいいのか分からない。そんな先生も多いのではないでしょうか。この本は、小学校で詩の創作の授業実践を続けてきた山際鈴子氏のアイディアが詰まった一冊です。

本の前半では、山際氏が考えた詩の創作の授業に関する指導計画をもとに、ほかの実践者がどのように授業をしたのかが報告されています。同じ指導計画を用いても、実践者がどの学年で、どのような児童に行うかによって実践内容が違っています。

これらを読むと、「自分だったらどのような詩の創作の授業ができるだろうか」と考えることができるでしょう。ぜひ、ご自身の実践に生かしてみてください。

右・『子どもと教育 臨床教育学入門』(河合隼雄 岩波書店 1995)

教育現場は難しい。この本の言葉を借りるなら「学級の子どもを全体として捉え、効果的に教えることを行いつつ、そこから落ちてゆく子どもに対して注意を払わねばならない」からです。

では、どうしたらいいのでしょうか。そんな難しい状況について考えるにあたって、この本はヒントを与えてくれることでしょう。この本では、子どもの「個」を徹底的に大切にするという考えから出発し、教師自身が子どもと適切な関係を持つにはどうしたらいいのかについて具体的な事例を通して書かれています。

この本を読むことで、子どもや自分自身の個性、それらを取り巻く人間関係について考えることができるでしょう。

最後は、国分寺市立第三小学校 中野紗耶香先生のおすすめ図書の紹介です!

中野紗耶香先生

左・『灯し続けることば』(大村はま 小学館 2004)

力を入れて準備した授業がうまくいかない…。子どもたちとの関係づくりがうまくいかない…。そんな日の帰り道、決まって頭をよぎる言葉があります。「今日だけ教えているのではないのですから」。

たくさんの「やるべきこと」に押し流されるように時間が過ぎる中で、充足感よりも後悔の念や無力感を覚えることもあるのが現実です。

そんな日々の中でも、子どもたち、そして自分自身の可能性を信じ、一歩一歩実践を積み重ねる力を、大村はま先生の言葉が湧き起こしてくれます。私にとって、そんなお守りのような一冊です。

右・『木を植えた人』(ジャン・ジオノ/著 原みち子/訳 こぐま社 1989)

中学3年生になった教え子たちの体育祭でのこと。想像以上にたくましく成長した姿に感動しました。中学生たちの記憶の中に、どれだけ小学校時代の授業が残っているかは定かではありませんが、小学校での学びが、彼らの成長にほんの少しでも寄与しているといいなと感じました。

小さな苗木が豊かな森になることを信じながら、目の前の一本の木を大切に育てていく―― そんな一面が、私たちの仕事にはあるのかもしれない。

この本を読みながら、毎日いっしょに紡いでいる学びが、日々子どもたちと交わす言葉の一つ一つが、彼らの成長を促す一滴になれたら幸せだと感じました。

先生がたのおすすめの本はいかがでしたか?
今後もこくごスタジオでは、先生のおすすめの本を紹介していきます! 授業づくりや学級経営のヒントにしていただけたら幸いです。
それでは、次回をお楽しみに!

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