対談 国語を楽しむ! ―― 「言葉の力」を身につけるために【後編】

2023.5.10

対談

国語を楽しむ!
―― 「言葉の力」を身につけるために【後編】

藤田伸一(川崎市立土橋小学校教諭)

弥延浩史(筑波大学附属小学校教諭)

「国語の授業は難しい」「子どもたちがどんな力を身につけたのか実感しにくい」そのような声がよく聞かれます。令和6年度「新編 新しい国語」の編集委員であるお二人の先生を招いて、「読むこと」の指導についてお話を伺った対談記事。前編に続く後編をどうぞ!

※当記事は、「ことのはつづり2023年春特別号」(2023年4月発行)掲載記事に未収録部分も加え再構成したものです。

――令和6年度「新編 新しい国語」では、「教材の配列・系統」をいっそう重視しています。このことについて詳しくお聞かせください。

藤田 説明文の系統では、各学年の第1教材で、説明文を読む上での基礎的な力をつけるようになっています。そして、第2教材以降では、身につけた「言葉の力」を生かして、「あ、要旨はこれだな」というように、前の学びにつなげて読んでいくことができます。今回は、第3・第4教材に、今まで以上に読み応えのある説明文がありますが、既習の単元で習得した力を活用して新たな学びを生み出すといった、学びの連続性がより強固になりました。

弥延 領域ごとの縦の系統も、同じ学年内での他領域との横の系統もしっかりしているのが、東京書籍の「新しい国語」の大きな特徴ですよね。

――教材どうしがつながることで、学びが広がりますね。

藤田 読書に広げていくには、読み聞かせも有効ですね。私が子どもたちに読み聞かせをするとき、説明文との出会いを話すことが多いのですが、「へえ」とか「そうだったんだ」のようなつぶやきが自然と出てくるので、授業で拾うこともあります。

また、読んでみたけれどよく分からなかったところや、もっと知りたいところ、疑問に思ったところに線を引かせながら読み聞かせをします。言葉から内容、また、内容から言葉を行き来しながら説明文を読んでいく。内容と形式を両輪にして読むのが、私の説明文読解の目指しているところです。

弥延 私も、1年生の最初にいちばん大切にしているのが絵本などの読み聞かせなんです。読み聞かせのときに、お話を聞いてどう思ったかを聞いています。物語には人物の変容が書かれていたり、結末がハッピーなのかアンハッピーなのかの違いがあったりします。

実際に、例えば1年生では「おとうとねずみチロ」(下巻に掲載)を学んでいきますが、入門期の絵本の読み聞かせの経験があるからこそ、作品の最後で何が大きく変わったのかが読み取れるようになります。高学年になると、変化するものが複数にわたる物語を読む経験が増えますが、構造が複雑になってきても子どもが自分自身でポイントを見つけられるようになります。それは「人物の変容」について、学年を超えて一つの軸で学んでいくからです。

構造と内容の把握をして、「この作品は人物の変容をしっかり捉えていく教材で、前の学年からはこのようなつながりがあるな」ということを考えながら授業を作っていく。先ほど話したように、学年間の横のつながりと、他学年との縦のつながりがしっかりしているからこそできることだと思います。

筑波大学附属小学校の弥延浩史先生 筑波大学附属小学校の弥延浩史先生

藤田 学びを広げるという意味では、調べ学習でも自分が見つけた課題を解決するためにさまざまな資料や情報にあたります。そのときに、説明文で身に着けた「言葉の力」を生かすことができる。国語で学習した力を、どのように他教科につなげていくのかもだいじですね。

また、書かれている情報を読み解く力も必要です。子どもたちの周りにはたくさんの情報があふれていて、精査に膨大な時間がかけられない。キーワードを抜き出していくことや、書き手の伝えたい主張の根拠はどこか、根拠は妥当なのかを判断するといった、情報の扱い方に関するポイントを押さえておくことが大切です。

新しい教科書では、そんなポイントに焦点化した「情報のとびら」という新教材も配置されています。これらをうまく使うことで、説明文を読むための力がいっそう鍛えられると思っています。

――国語で身につけるべき力=「言葉の力」を育てるにはどうしたらよいでしょう。

弥延 自分が何を学んだか自覚できるようにすることが重要ですよね。文学教材で大切なのは、その作品から自分は何を強く受け取ったのかということ。さらに、ほかの作品を読むときにも使えるような読みの観点を獲得していく、その学びを自覚していくということだと思います。

そうすると子どもたちは、「繰り返しの言葉が出てくるのは何か意味がある」「登場人物の行動は何かの伏線になっている」などといった見方・考え方ができるようになる。子どもたちの心を豊かにするための個々の読みを大切にしながら、読むときの着眼点を自覚できるように学習を振り返ることがだいじかなと思います。

藤田 これまでは、振り返りというと、分かったことや感想をまとめることが多かった。しかし「学び方」を振り返ることが大切ですね。説明文も、自分はなぜ要旨を捉えられたのか、どんな言葉に着目したことで捉えることができたのか。それが題名だったり、繰り返し強調されているキーワードであったり、目の付けどころが分かることが、「言葉の力」の自覚化につながるのだと思います。

新しい教科書では、いつでも見られるよう、巻末に「言葉の力」が整理されています。「要旨を捉えるにはどこに着目するんだったかな。そうだ、ここを見るんだった」というふうに使用して、学んだことを確認し、自覚していけるといいですね。

――最後に、全国の先生方へメッセージをお願いします。

弥延 国語の授業にも、「分かった」「できた」瞬間が必ずあります。子どもたちに「読むことって楽しい」「国語の学びってこうつながっていくんだな」と思ってもらうために、まず先生方に、教材といい出会いをしてほしいですね。そのうえで、目の前の子どもたちにどんな「言葉の力」をつけていくのかということを考えていただきたいなと思います。

藤田 4年には「ヤドカリとイソギンチャク」(上巻に掲載)という説明文があります。題名を突き詰めていくと、ヤドカリとイソギンチャクの共生関係が、助詞の「と」、たった一文字から見えてくるんです。言葉が持つ力が見えてくると、その奥にある素敵な世界が広がっていく。そういう目でぜひ、国語を見つめてもらいたいと思います。

(聞き手:東京書籍国語編集部)

※本文中の教材名はいずれも令和6年度「新編 新しい国語」掲載のもの。

新しい教科書の内容はこちら! ぜひ合わせてご覧ください。

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