こくごレポート 第12回 島根県出雲市立斐川西中学校 ~短歌を短歌で読む・詠む~

2026.7.29

こくごレポート

第12回 島根県出雲市立斐川西中学校
~短歌を短歌で読む・詠む~

こくごスタジオ編集部

コトハ今回取材するのは島根県の出雲市立斐川西中学校です。学校の北を流れる斐伊川は、古事記に記された「ヤマタノオロチ(八岐大蛇)伝説」で、スサノオノミコトに退治される大蛇が棲んでいた川として登場するんだって!

学校の紹介

斐川西中学校は「花に囲まれ、歌声の響く学校」と呼ばれ、地域の方といっしょに行う花づくりや、入学式・卒業式での「名づけられた葉」の合唱などの教育活動が受け継がれています。また、外国にルーツを持つ生徒も多く在籍しており、生徒たちは自然に多文化共生を学んでいます。

校門 校門


クラスの紹介

今回訪問したのは2年1組。学級目標の「BOND(絆)&SMILE(笑顔)」を合言葉に、困ったときは助け合い、うれしいときはいっしょに喜び合うクラスです。現在は、秋の修学旅行に向け、「出雲子ども観光大使」としての活動の準備をしているところです。授業を担当するのは兒玉文子先生です。


授業スタート

今学習している単元は「新編 新しい国語2」の「短歌を楽しむ」。今日は第5時に当たる授業で、めあては「短歌を読んで味わったことをもとに、短歌を詠む」です。

学習の流れ 学習の流れ

前時までの学習では、「短歌を楽しむ」で紹介されている三首と教科書p.23の「短歌五首」を読み、「短歌を味わうコツ」を、観点(~に注目すると、~することで、~してみると)と効果(~が分かる、~が見えてくる、~が想像できる)で整理して、各自シートに書き出しました。

授業の最初に、2年1組の生徒が書き出したものをまとめた「1組の短歌を味わうコツ」を確認して、いままでの授業を振り返ります。兒玉先生は、「単元で学んだことを生徒の言葉でまとめること、そして他の単元や日常生活でも使えるようにすること」を大切にしています。

さて、友だちはどんな味わい方を見つけたかな。

1組の短歌を味わうコツ 1組の短歌を味わうコツ

続いて、本時のメイン、短歌を短歌で詠んでいきます。まずは先生のお手本。兒玉先生は「不来方のお城の草に寝ころびて/空に吸はれし/十五の心(石川啄木)」をベースに詠んでいます。

短歌を詠む兒玉先生 短歌を詠む兒玉先生

ここで今まで読んできた短歌に、「扉の短歌八首」(教科書巻頭)を加えたワークシートが配られ、これをもとに進めていきます。みんなはどの短歌を選ぶかな。

配られたワークシートには「短歌を読んで短歌で詠む〜どのパターンで詠む?~」として、4つのパターンが紹介されていました。

A:味わった情景や作者の心情を詠みこむ

B:短歌の奥にいる他の登場人物になって詠む

C:短歌の「その後」を想像して詠む

D:自分を重ねて、自分に置きかえて詠む

これは過去に参観した研究授業で紹介されたものや、兒玉先生の授業で生徒から出た意見を参考に作られたとのこと。生徒たちは、先生のお手本やワークシートをヒントに、指折り文字を数えながら、味わったことを短歌で出力しています。

短歌を詠む生徒 短歌を詠む生徒

最後に協働学習支援ツールに投稿して今日の授業は終了! 次の時間でお互いの短歌を読んで、短歌の創作につなげていきます。

端末に入力する生徒たち 端末に入力する生徒たち


兒玉先生にインタビュー

兒玉先生 兒玉先生

Q 本日の授業では、短歌を読んだことを短歌で詠んでいることが印象的でした。この授業をやってみようと思ったきっかけはありますか。

「本を読む」「文を書く」機会の少ない現代の生徒に短歌を染み込ませるには、自分自身で短歌を作ってみることがよいと考えました。教材の文種を言語活動に生かすことは、短歌に限らず、ほかの単元でもやっています。例えば、1年生の「オオカミを見る目」では、「生徒が見つけた『筆者の説明の工夫』を説明文で分かりやすく書く」という活動をしました。2年生の「あの夕暮れに帰る」では、「随筆を読むコツ」を見つけてクラスで共有した後、ミニエッセイを書きました。原田マハさんの文章に倣って、「季節感のある情景描写やできごと、そして感じたことを書く」という活動です。

また、書いたものをお互いに読み合うことで「友だちから学ぶ」という機会を積み重ねることを大切にしています。

ミニエッセイ ミニエッセイ

Q 本日の授業を振り返ってみていかがでしたか。

生徒たちにとって短歌で短歌を詠むのはハードルが高いかなと思っていましたが、多くの生徒が作ることができていました。中には言葉を一つ変えただけの生徒もいれば、表現を工夫している生徒もいましたが、この単元の中心は「読むこと」なので、ここで内容や表現については深く掘り下げません。自分で作ってみて、友だちの作品を読んでみて、ワイワイと話して、自分自身や友だちの新しい一面を知りながら楽しいと感じてもらえればいいと思います。

またここでしっかりと短歌に触れて「短歌から始まる物語」や3年生の俳句の単元にも学習をつなげてもらいたいと願っています。

(取材日:2026年5月)

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