こくごレポート 第11回 熊本県山鹿市立山鹿中学校 ~アイディア満載! 子どもが輝く「話すこと」授業――AI活用にチャレンジ~

2026.3.11

こくごレポート

第11回 熊本県山鹿市立山鹿中学校
~アイディア満載! 子どもが輝く「話すこと」授業―― AI活用にチャレンジ~

こくごスタジオ編集部

コトハ今回取材するのは熊本県の山鹿市立山鹿中学校です。学校の入り口には「あきらめない絶対にあきらめない!!」「ベストを尽くす」「チャレンジする」という山中スピリッツを掲げています!

学校とクラスの紹介

山鹿市といえば山鹿灯籠まつりが全国でも有名です。和紙で作られた灯籠を頭に載せて踊る「山鹿千人灯籠踊り」は、熊本の夏の風物詩です。そんな山鹿市の中心校である山鹿中学校は全校生徒740人。校区内は合唱も盛んで、全国合唱コンクールに出場するほどの実力! 本日授業を見るクラスは校内合唱コンクールで金賞を取った、元気いっぱいの3年3組です。授業を担当するのは、「チャレンジする」後藤葵先生です。

山鹿市立山鹿中学校 山鹿市立山鹿中学校


本時の授業を見る前に

今回の授業は「新編 新しい国語3」の「条件スピーチ」の単元です。
単元導入では「なぜスピーチをやるのか」や「スピーチ力とはどんな力か」を考えました。スピーチの重要性をしっかり伝えて単元に入ります。
教科書では11月〜12月にかけて配列されていますが、【アイディア①】中学校国語で学んだことを活かして自分の思いを伝えるスピーチをしようという「卒業スピーチプロジェクト」に向け1月に入れ替えました。このプロジェクトは国語の時間で行います。

スピーチ原稿の作成の前に【アイディア②】「思いが伝わる・印象に残るスピーチの極意シート」を作成します。少年の主張全国大会のスピーチや大阪・関西万博での吉村知事によるスピーチなど、それぞれ特徴が違う上手なスピーチの動画を生徒に見せ、工夫していると思った点をスピーチの極意シートに書かせました。作成したスピーチの極意シートはロイロノートを使ってクラスで共有、友達のスピーチの極意シートを見て自分に取り入れたい部分を入れながら、完成度を高めました。

思いが伝わる・印象に残るスピーチの極意シート 思いが伝わる・印象に残るスピーチの極意シート

「思いが伝わる・印象に残るスピーチの極意シート」は、話し方に関する極意と内容・構成・表現などに関する極意で色分けをしています。


本時のスタート

まずはアイスブレイクで表現技法の確認。今回はお題の絵を見ながら「比喩表現」を使って、絵の特徴を表現していきます。「スピーチの中にも表現技法を入れると、すてきなスピーチになるよ」と声かけを行い、スピーチ原稿に生かすことを意識させます。
ここからは、前時の授業で作成したスピーチ原稿を推敲していきます。【アイディア③】スピーチ原稿作成シートは左に原稿、右にスペースを取っており、「極意・意識すること・アドバイス」を記入できるようにしました。まずは個人で「スピーチ極意シート」を見ながら、スピーチ原稿の右側に話し方や、内容・構成・表現の工夫を記入していきます。

スピーチ原稿を推敲 スピーチ原稿を推敲

次にペアでお互いにスピーチし、アドバイスをもらう活動を行います。後藤先生は「話すほうは、極意を意識しながら、恥ずかしがらずにスピーチ!」「聞くほうは、スピーチ極意シートを見ながら、『もっとこうするといいよ!』とアドバイスしてね」と声かけ。アドバイスするのが難しい子も、できるように配慮を行います。どのペアも積極的な意見交換をしていました。アドバイスだけでなく、よかった点も伝えていました。

ペアでスピーチについて意見交換 ペアでスピーチについて意見交換

アドバイスをもらった後は個人ごとに、スピーチ原稿と極意を練りあげていきます。【アイディア④】ペア活動が終わったら、ここでChatGPTの登場です! ChatGPTに原稿を貼り付け、アドバイスをもらいます。ロイロノートでChatGPTの活用方法を共有します。このとき、自分がどこに困っていて、どんなアドバイスがほしいかをChatGPTに伝えてアドバイスをもらいました。後藤先生は「ChatGPTからもらったアドバイスは全部取り入れる必要はないよ! 納得したことを取り入れるように」と声かけ。子ども達はChatGPTからのアドバイスを受け、原稿に手を加えていきます。ChatGPTからは『〜です。』が続くところがあるから、少し変えるとよい」などのアドバイスがありました。

ChatGPTの活用 ChatGPTの活用

最後にもう一度、ペアで発表を行います。「友達のアドバイスとChatGPTのアドバイスを受けて、どこが、どうよくなったか」を伝え合いました。

振り返りとして「友達やChatGPTのアドバイスから、自分のスピーチのどこがどのようによくなったか」を考え、本時の授業は終了。「抑揚のつけ方が分からなかったけど、友達やChatGPTに聞いて、声の大きさや、表情を変えて話すことができるようになった」等の振り返りが見られました。


後藤先生にインタビュー

後藤先生と生徒たち 後藤先生と生徒たち

Q 本単元の中でポイントにしていたことがあれば教えてください。

【アイディア⑤】今回は、単元の目標や毎時間の目標が一人一人違うんです。「自分の単元の目標」「自分の毎時間の目標」を決めているところです。個人の力によって目標は違ってくるので、それを教師側が統一して与えた目標は、それぞれの子ども達が求めているものなのか? と疑問に感じたことがきっかけで、やってみました。個人の力の差があり、課題もそれぞれ違ってくるので、目標を一つにまとめても主体的な学びにはならないと考えました。この単元で行うことを伝え、あなたはどんな力をつけたいのか、もっとできるようになりたいことを考えさせました。誰に何を伝えるかが大事になるので、そこはしっかり意識させつつ、目標を考えさせています。子どもからは、それぞれ違った目標がしっかり出てきました。
それに加えて、目標と振り返りを友達とチェックしあうこともしました。振り返りが苦手な子でも友達の振り返りを見て、何を振り返るのかを学ぶことができます。
友達チェックをすることで、自分ごと化されますし、より学びも深まっていくと思います。

目標・振り返りシート 目標・振り返りシート

Q ChatGPTを使うタイミングで、ポイントがあれば教えてください。

ChatGPTは便利な反面、子ども達が自分で考えることをしなくなる可能性があります。今回で言うと、自分で考えた原稿について友達からアドバイスをもらって、それを踏まえて自分でしっかり考えたものに、ChatGPTからアドバイスをもらうとしました。ChatGPTによるアドバイスのもらい方も子ども達に考えさせたいという意図がありました。ChatGPTの使い方も学ばせたいというねらいもありました。

後藤葵先生は、「分からなかったり、できなかったりすると授業がきつくなってしまうような国語が苦手な子でも、ちょっとでもできそうだな! と思えるような授業をしたい」と常に考えているそうです。その思いがいろんなアイディアにつながっているんですね。
できるための手立てを増やしてあげることを常に考えているすてきな先生でした。

(取材日:2026年1月)

※ChatGPTはOpenAIの商標または登録商標です。

ほかの記事を読む

TOPへ