こくごスタジオ×EduTown SDGs 「マイノリティマップ」をつくってSDGsの目標を身近なものとして考えよう

2026.1.21

こくごスタジオ×EduTown SDGs

「マイノリティマップ」をつくってSDGsの目標を身近なものとして考えよう

田村和規(滝川第二中学校教諭)

今回は、弊社が運営している情報サイト「EduTown SDGs」とのコラボ企画! 東京書籍の中学1年の教科書に掲載している教材「未来への扉」を取り上げながら、国語科の学習とSDGsを絡めた指導案をご紹介します。ご実践いただいたのは、滝川第二中学校の田村和規(たむらかずき)先生です。

はじめに(編集部より)

東京書籍の令和7年度版の教科書では、各学年末に「未来への扉」という新しい教材を設けています。1年では「多様性」、2年では「地球環境」、3年では「平和・国際理解」をテーマに、複数の文章や資料を読み取りつつ、話したり書いたりする活動に取り組むことで、各テーマへの深い理解につながる教材になっています。

それぞれのテーマは、SDGsが掲げる「17の目標」とも親和性が高いものになっており、そうしたSDGsの視点を取り入れることで生徒の思考をさらに深めることができます。

ということで、今回は、1年の教材「未来への扉」で扱われている「『ろう者』として生きる」(忍足亜希子)を取り上げつつ、弊社が運営している情報サイト「EduTown SDGs」および弊社刊行の無料の学習冊子「SDGsスタートブック」を活用した実践例を、兵庫県神戸市にある滝川第二中学校の田村和規先生にご執筆いただきました。

前半に指導案、後半に実際に授業をされた感想を一問一答形式でお書きいただいています。


指導案

(1)単元名

「マイノリティマップ」をつくってSDGsの目標を身近なものとして考えよう

(2)教材

「『ろう者』として生きる」(「新編 新しい国語1」)
「SDGsの目標10:人や国の不平等をなくそう」(「EduTown SDGs」「SDGsスタートブック」)

(3)生徒観

いずれの学級の生徒も、授業や校外研修、講演会などの活動に積極的に取り組むことができる。新たに得た知識を特別活動等の場において生かそうとする姿勢も見られる。また、学校内で過ごす時間が比較的長く、日常生活のほとんどが学校と家庭のみで成り立っていることから、生活上の身近な話題や出来事への関心が高い一方で、学校外の人間関係が希薄であり、社会的な出来事や学校外のことについての関心は低い。「SDGs」という言葉については、言葉を耳にしたことはあるものの、具体的にはどのような目標が掲げられているかということについては詳しく知らない生徒がほとんどである。

(4)教材観

本教材は「ろう者」である筆者が、自身の境遇、「マイノリティ」として生きる中で感じる疑問や生きにくさが述べられており、最後はよりよく生きるための主張で結ばれている文章である。また、障がいのある人と関わる経験の少ない者にとっては、コミュニケーションの取り方についてのひとつの指針となるような内容でもある。決して悲観的な文章ではなく、筆者の「明るい」考えや生き方が感じられる、前向きなものとなっている。

(5)指導観

スタートブックを活用しながら文章を読み取り、筆者の考えを理解することを通して、「SDGs」や「マイノリティ」についての理解も深めさせる。SDGsの「目標10」の内容と合わせ、障がいの有無が不平等の原因とならないようにするための生き方についても考えさせたい。

また、生徒たちにとって文章の内容やSDGsで掲げられている目標が自分の身近なこととして感じられるように、自身の経験と合わせて整理させる必要がある。「マイノリティマップ」と称した大きな用紙に身近な施設を想定したそれぞれの場所の領域を設け、そこで見られるマイノリティを考えさせる。視点によっては誰でもマイノリティになり得ることや困難を感じていることがあることを想像させたい。「人と人とのつながりを大切に……」という筆者の主張に基づいて作成した「マイノリティマップ」を「コミュニケーションマップ」に作り変えさせることで、世の中をよりよくしていくために、自分にできる身近な行動を考えさせる。

(6)単元の目標

・原因と結果、意見と根拠など情報と情報との関係について理解することができる。〔知識及び技能〕(2)ア

・読むことにおいて、文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えを確かなものにすることができる。〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)オ

・言葉がもつ価値に気付くとともに、進んで読書をし、我が国の言語文化を大切にして、思いや考えを伝え合うことができる。〔学びに向かう力、人間性等〕

(7)評価規準

・原因と結果、意見と根拠など情報と情報との関係について理解している。〔知識及び技能〕

・読むことにおいて、文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えを確かなものにしている。〔思考力、判断力、表現力等〕

・言葉がもつ価値に気付くとともに、進んで読書をし、我が国の言語文化を大切にして、思いや考えを伝え合おうとしている。〔主体的に学習に取り組む態度〕

(8)単元計画

学習活動

指導上の
留意点

評価
記録に残す評価
指導に生かす評価

1

○「SDGs」について知っていることを挙げる。

・環境問題に関係することが挙がりやすいことが想定される。

○「EduTown SDGs」の「目標10」の動画を視聴する。

・全部で17ある目標のうち、今回の単元では目標10に焦点を当てることをあらかじめ伝える。

○「SDGsスタートブック」を読んで、不平等の原因となっていることを考える。

・障がいの有無が不平等の原因のひとつとなっていることを理解させる。

○班で「マイノリティマップ」を作成する。

・学校や駅(電車内)、屋外、家庭において、どのようなマイノリティの人がいるかを挙げさせ、付箋を用いてKJ法の要領で整理する。同時にどのような困難があるかを想像させ記録させる。

ワークシート

2

○前時の復習をする。

○文章を読み、筆者の境遇や考えを整理する。

・筆者は悲観的な考えをもっているわけではないことを理解させる。特に「人と人とのつながりを大切に……」の部分に注目させる。

ワークシート

○前時に作成した「マイノリティマップ」を「コミュニケーションマップ」に作り変える。

・「マイノリティマップ」が活動の完成形ではないことを強調する。

○完成した新しいマップを見ながら自分にできる人とのつながり方を考えさせる。

ワークシート


実際に授業をされた感想

Q EduTown SDGsを国語の授業で使ってみた感想を教えてください。

「目標10」のポイントをまとめた動画を授業内で活用させていただいた。SDGsに関する知識の乏しい生徒にとっても理解のしやすい動画であり、短い時間にまとめられていたため、授業内に組み込むことが容易だった。また、ある決まった考え方を提示するものではなく、生徒に対して問いかけるような内容の動画であったため、単元の導入時における資料として使いやすかった。単元の導入をスムーズに行えたことが、十分な言語活動の時間を確保することにつながったと感じている。

Q 国語のほかの単元の授業と比べて、生徒の反応はどうでしたか?

読み取りの時間に対してグループワークの時間が比較的多い単元となり、国語に苦手意識を持つ生徒も意欲的に活動に取り組む様子が見られた。授業後に生徒に書かせた学習の振り返りや感想についても、単元を通して考えたことを日常生活に生かしていきたいとの記述が多く見られている。

Q 今回の授業前と授業後で生徒たちに変化はありましたか?

前半の活動時(第1時)には、生徒たちが日常生活の中で何となくタブー視してしまっていた、障がいのある人についての発言をすること、話し合いをすることに少しやりづらさを感じているようであった。まさにつながりを躊躇するような姿があったように思う。文章を読み終えてからの、後半の活動時(第2時)にはそのような躊躇がなくなり、ものすごい速さで、マイノリティとつながるための方法を書き加えていたことが印象的であった。学習後の振り返りや感想にも、前向きなことが多く書かれている。

Q 国語とSDGsにはどんなつながりがあると思いますか?

掲げられている目標を身近なものとして考え、自らが見つけた課題について、筆者の思いに沿う形での解決方法を考える活動となった。意見を伝え合う力や思考力、想像力が養われるという点で、SDGsの目標を身近なこととして考える活動は、国語力の養成につながると考えている。

「EduTown SDGs」の「目標10」の動画を視聴している様子 「EduTown SDGs」の「目標10」の動画を視聴している様子

「SDGsスタートブック」を活用している様子 「SDGsスタートブック」を活用している様子

「マイノリティマップ」に取り組む様子 「マイノリティマップ」に取り組む様子

(取材日:2025年12月)

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