ICT実践 「和の文化を発信しよう」での実践 ―ICTを活用した主体的・対話的で深い学びの実現―

2025.12.10

ICT実践

「和の文化を発信しよう」での実践 ―ICTを活用した主体的・対話的で深い学びの実現―

穂田正太(熊本県菊陽町立武蔵ケ丘小学校)

「一人1台端末」時代となった今、改めてICTの活用について見つめ直してみませんか? 当コーナーでは各地のICT実践を中心に、デジタルを活用した授業づくりについて考えてみたいと思います。今回は、熊本県菊陽町立武蔵ケ丘小学校の穂田正太(ほだしょうた)先生による実践を取り上げます。

1 はじめに

国語科でICTを活用することには、言語活動の幅を広げ、思考を整理したり、表現を工夫したりする力を高める利点があります。

従来の言語活動であれば、紙に「書いて考える・伝える」ことをメインに授業を構想することが多かったです。しかし、ICTを活用することで、「考えを可視化して共有する」「音声言語を聞かせる」といった多面的な言語活動と容易に結びつけることができるため、言語活動の幅が大きく広がります。幅が広がれば、その分目の前の子どもたちの実態に合った言語活動を設定することができます。そのような言語活動を設定することで「こんな姿になりたい」とその単元での自分のゴールの姿をイメージし、知的好奇心が連続するとともに、学習課題を設定することができます。つまりは、主体的・対話的で深い学びへと誘うことができると、私は考えています。以下では、そのようなことを意識した実践を紹介します。


2 単元のねらい

教材:和の文化を発信しよう
対象児童:児童数29名(5年生)

本校は4年生以外は全て1クラスです。特に本学級の児童は1年生の頃からクラス替えもないまま5年生まで進級してきました。そのため、自分のクラスの友達とはよく交流してきましたが、いざ他のところとなると尻込みしてしまったり、うまく表現できなかったりするところがあります。6年生を目前に控えた本学級の児童。低学年のお手本として頑張りたいと意気込む後期のスタートで始まったこの単元。私としても、子どもたちの世界を少しずつ広げ、さまざまな人たちと交流することを取り入れたいと考えました。

そこで、前単元の「和の文化を受け継ぐ—和菓子をさぐる」と本単元をつなげ「和の文化を受け継ぐために、4年生に和の文化ポスターを使って魅力を伝えよう。」という言語活動を設定しました。


3 単元の展開(全6時間)

時間

学習の流れ

主な活動

1

単元導入

和の文化の例を出し合い、調べたいテーマを決める

2~3

調べ学習

歴史・文化・支える人の3つの視点で情報を整理

4

発信内容を考える

伝えたいことを整理し、ポスターの割り付けを考える

5

ポスターづくり

ポスターをつくり、音声で説明を録音

6

発信

4年生に音声付きポスターを紹介


4 ICT活用の場面

(1)調べた内容を「3つの視点」で整理する

前単元の説明文の要旨を「歴史・文化とどのように関わっているか、どんな人が支えるのかを考えることが、和の文化を受け継ぐためには必要だ。」とした子どもたち。そこで、調べた内容を「歴史との関わり」「文化との関わり」「支える人の存在」の3つの欄に分けて整理することにしました。

前単元の内容とつながりがあるため、子どもたちは調べた情報を分類しながら整理していく過程で、知識を活用できていました。従来ですと、付箋等に書いて分類するところですが、ICTを活用することでリアルタイムに友達の考えを見ることができ、それを参考にして考えるという対話が生まれていました。また紙とは違い、書き直しや修正がしやすく、自然と情報を修正・要約し、自分の考えをよりよいものにブラッシュアップする姿も見られました。

調べた内容を「3つの視点」で整理する

調べた内容を「3つの視点」で整理する

(2)音声データ付きポスターでの発信

完成したポスターに合わせて解説文を作りました。4年生に渡す際には、その解説文を録音し、音声入りのデジタルポスターを作成しました。そうすることで、4年生がいつでも気軽に視聴できるようにしました。ICTを活用することで、時間を合わせたり、集まる場所を考えたりせずに、学年を超えた交流ができ、発信の場が広がりました。また、話すことが苦手な児童も、録音によって落ち着いて自分の考えを伝えることができました。

音声データ付きポスターでの発信

音声データ付きポスターでの発信


5 子どもの姿

・それぞれの段階で、友達のまとめ方を見て「自分もこの視点を入れよう」と工夫する姿が見られた。

・発信活動では、「4年生に分かりやすく伝えたい」という目的意識が高まり、声のトーンや言葉づかいを工夫する児童が増えた。

・音声付きポスターを視聴した4年生からの感想が届くと、「伝わった」「もっと調べたい」と次への意欲が生まれた。

・児童一人ひとりが自分のペースで考えをまとめ、学年を超えた発信を実現できた。

・音声による説明を通して、「読む・書く・話す・聞く」の言語活動が関連づいた。


6 まとめ

本実践では、ICTを効果的に活用することで、児童の学びを「整理」と「発信」の両面から支援することができました。整理活動では思考を可視化し、音声付きポスターでは表現を工夫する姿が見られたり、伝える喜びを実感したりする姿が見られました。子どもたちの実態に合った言語活動を設定することで、子どもたちは主体的に活動に参加し、その中で「もっとこうしたい」「友達はどう考えているかな」と課題を見つけ、解決しようとする姿を引き出すことができました。

ICTを活用することで国語科の学習は、従来よりもさらに広がりやすく、子どもたちにとってより魅力的なものになると思います。子どもたちの主体的・対話的な深い学びを実現するために、ICTを活用していきましょう。

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