
2025.11.19
学習用語を考える
「国語の学習で使う用語が定着しないから、学年が上がってもつまずいてしまう」「読んだ物語や説明文は覚えていても、何を学んだかは思い出せない」…。「要約」「山場」などの学習用語について、国語の指導に長年携わってこられた二瓶弘行先生に、その重要性と定着のための工夫について伺いました。
※当記事は、「イラストで分かる! 国語の学習用語集」(2025年9月発行)の記事を再構成したものです。
Q 学習用語が身につくと、国語の学習においてどのようないいことがあるのでしょうか?
主体的な言葉の学び手を育てるために、学習用語は不可欠です。文章を読む力・書く力・話し聞き、伝え合う力の基盤にあるのが学習用語。五年生で「要旨」を知らずに、高学年の説明文の学習は成立しませんし、三年生で「要約」が定着していなければ、「要旨」の把握は困難です。このように、学習用語はすべての言語活動を主体的に展開するための「必須のアイテム」と言えるでしょう。
Q 学習用語が定着している児童とそうでない児童では、国語の授業や学習においてどのような違いが見られますか?
例えば、初めて出会う物語教材の一時間目の学習。ある教室の子どもたちは、「場面」の移り変わりを捉え、「登場人物」の行動や「会話文」から人物の気持ち、「心情」を想像し、いずれくる「山場」でのいちばん大きな変化を考えながら読み進めます。そして読了後には、初読の感想や自分なりの問いを持つことができます。けれども、もしこのような学習用語を知らずに育った子どもたちの教室だったら…。二時間目以降の詳細な読解は、きっとおもしろくなく、浅薄な学習に陥ってしまうことでしょう。だからこそ、学習用語の定着はきわめて重要なのです。
Q 授業で取り入れるとよい工夫や指導のポイントを教えてください。
学習用語の定着は、どうしても必要です。ただ、実際の教室では、なかなか難しい。学んだ学習用語を、次の単元では曖昧にしか想起できず、活用できない子どもたちがたくさんいます。
教室の子どもたちの学習用語の定着を図るため、用語をカードにして活用することはとても有効です。単元導入期、例えば、物語単元の初読をする前に、それまでに学んだ学習用語カードを提示(配布)し、その定義を再確認する。これらの学習用語は、新たに出会う物語を読み進める際の重要な読みの観点となります。可能であれば、その学習用語を既習した物語教材文を読み返しながら想起させると、より確かな定着へとつながることでしょう。
私(二瓶)の教室では、学んだ学習用語をすべてカードとして教室に掲示し、そこに目をやれば、いつでも想起できるように工夫しました。単元を終えるごとにカードの数がだんだんと増えていく。それは、自分たちの学びの蓄積の確認でもあります。
二瓶弘行(にへい・ひろゆき)
桃山学院大学教授・教育監。筑波大学附属小学校教諭、桃山学院教育大学副学長を経て、現職。全国各地の研究会で、子どもたちの瞳を輝かせる模擬授業を行う。ひろがれ国語ネットワーク代表、国語「夢」塾 塾長、日本人間教育学会理事長。
※「イラストで分かる! 国語の学習用語集」(2025年9月発行)は、東京書籍の小学校国語教科書巻末に掲載している「学習で使う言葉」に、楽しいイラストを付した資料です。東京書籍のウェブサイト「東書Eネット」では、用語カードを1枚ずつ印刷することができるデータも掲載しています。
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/detail/119573/