授業のタネ 児童自らが学び進めたくなる漢字指導

2025.11.5

授業のタネ

児童自らが学び進めたくなる漢字指導

宍戸寛昌(立命館小学校教諭)

明日の授業ですぐに使えるアイディアを紹介する新シリーズ! 今回は、立命館小学校の宍戸寛昌(ししどひろまさ)先生に、漢字指導のタネをご紹介いただきました。

今、この記事をお読みになっている先生がたには、先輩から教えてもらったり、教育書を読んだりしながら作りあげてきた、それぞれの漢字の指導法があることでしょう。もちろん、その良さを否定するわけではないのですが、ちょっと振り返ってみてほしいのです。それ、もしかして毎週の漢字テストで満点を取ることを目標にしていませんか? または、ノルマとしての漢字練習を、どうシステマチックに構築するかを目的にしていませんか?

漢字指導の目的は、体系化された漢字習得システムを、教師が作りあげることではありません。子どもが自ら漢字の知識を体系化しながら身につけることです。長いスパンをかけて、子どもが漢字のおもしろさに気づき、自ら学び進めていくような指導改善の視点を、以下に三つ挙げます。

①同じルーチンワークに見えても、毎回新たな気持ちで取り組めるような、変化のある繰り返しのシステムを考える

②「どう学ぶか」は徹底的に指導し、「なにを学ぶか」「いつ学ぶか」を子どもに委ねる

③個人の内面で漢字の知識ネットワークが構築されることを目標とした、習得と活用の学びへシフトする

それぞれの具体例を、低・中・高学年の指導に当てはめて説明していきます。


例1 低学年の帯単元だったら?

低学年であれば、1日二~三つの新出漢字を取り上げて、朝の学習や国語授業の前半で学ぶ、帯単元のような指導が一般的でしょう。1学期は真剣に学んでいても、同じやり方で2学期、3学期と進んでいくと、少しずつだれたり飽きたりする姿が出てくるもの。そこで「小さな変化+意味づけ+遊び心」を加えてみましょう。

①繰り返しの順番を変える

「マス目書き→なぞり書き→空書き」

②意味づけをリフレッシュする

「この漢字を覚えるとどんないいことがあるかな?」

③挑戦的な要素を取り入れる

「10分で終われるかな?」「ここまでできたら〇ポイント!」

④共有やアウトプットを加える

「今日いちばんうまく書けた漢字は?」「ペアで漢字クイズ!」


例2 中学年の宿題だったら?

漢字を宿題に出すときには、大きく次の三つを設定していることでしょう。

①なにを学ぶか(学習範囲)

②どう学ぶか(学習方法)

③いつ学ぶか(学習時間・提出期限)

 ドリルの〇ページの新出漢字から熟語を1ページ分書き明日朝までに提出すること

中学年になったら、これらを少しずつ子どもに委ねてみませんか? 例えば、①学習範囲であれば、1日で新出漢字のどこまで進めるかを自分で決めさせる。②学習方法であれば、プリントに書き込むのか、ノートに熟語を書くのか、タブレットで問題に取り組むのか、選ばせる。③学習時間なら1日にどれだけの量を学ぶか、漢字ごとにどれだけ練習するかを考えさせる。このように、自分で決められる部分を増やすことで、主体的に学びだす子どもが増えていきます。

ただし、注意すべきは②学習方法がしっかりと身についていることです。子どもたちがまだやり方を分かっていないのに委ねるのは単なる放任と同じです。


例3 高学年の自主学習だったら?

高学年になると、漢字の授業時間はどんどん少なくなり、場合によっては家庭学習とミニテストのみとなることもあるでしょう。宿題はさっさと終わらせて、テストの直前にちょっと漢字を勉強して間に合わせる。こんな学びが続くと、漢字の知識はどんどんやせ細ってしまいます。せっかくここまで数多くの漢字というリソースを手に入れたのですから、「この意味とこの音を組み合わせたから」「前後の文脈から」「熟語の組み合わせから」この漢字になるのだという、納得を生む学びにつなげたいものです。例えばこんな課題はどうでしょう。

①干支の漢字とそれが表す動物の名前の漢字をセットで書こう

②長寿のお祝いの漢字をたくさん集めよう

③消防自動車の種類をたくさん集め、使われている漢字のランキングを作ろう

④同じ部首を持つ漢字を集めて、仲間外れのものを見つけよう

⑤国字(日本でできた漢字)を集め、その特徴をまとめよう

これらを自主学習で進めていくと、子どもの中に漢字知識のネットワークが構築されていきます。

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