読書案内 先生のおすすめ図書紹介 第5回

2025.5.21

読書案内

先生のおすすめ図書紹介 
第5回

石川雅春(名古屋学芸大学教授)

「国語」を研究する先生はどんな本を読んでこられたのか。5回目の今回は名古屋学芸大学の石川雅春(いしかわまさはる)先生に授業づくりと、読書指導に関わるおすすめ図書をご紹介いただきました。ぜひご覧ください!

石川雅春(いしかわまさはる)先生

左・『こころに届く授業:教える楽しみ 教わる喜び』河合隼雄・谷川俊太郎/著 小学館 2002

突然ですが、先生がた、授業が縮こまっていませんか。あるいは薄いものになっていませんか。子どもの表情はどうですか。

本書で紹介されている谷川俊太郎さんの授業は、柔軟で、大胆で、彩りの豊かな授業です。小学6年と中学1年の合計11名を対象に俊太郎さんが初めて行った授業。「日本語」「国語」「母語」について考えさせて言葉への関心を高めたり、「五十音」の一音一音や一行一行を音読させて音や言葉の表情を体感させたりしています。
「言葉は初めは音だけだった」「その豊かな表現力は文字にも劣らない」など、自作の詩の解釈も取り入れながら、音読の重要性や言葉の世界の魅力に、生徒を誘っていきます。

河合隼雄さんとの対談は、非常に上質な教育談義で、俊太郎さんの詩のように、分かりやすさの中で本質を考えさせる力を持った文脈が随所に見られます。
読んでいて楽しそうな子どもの表情が浮かんできます。授業終了時に、「授業ってこんなにおもしろいとは思わなかったよ」と、俊太郎さんが思わず子どもたちに告げているところが非常に印象的で、授業はこうでなくっちゃあ、と思わせてくれる一冊です。

右・『橋をかける:子供時代の読書の思い出』美智子/著 文藝春秋 2012

本書は1998年にニューデリーで開催された国際児童図書評議会において、上皇后美智子陛下(当時・皇后)のビデオテープによる基調講演の内容を編集し、定本として出版されたものです。美智子様は幼い頃新美南吉の『でんでんむしのかなしみ』に出会い、それぞれが背負っている悲しみについて感受し、その後幾度となく思いがけないときに記憶としてよみがえってきたという話をされています。また、『古事記』にある倭健御子(やまとたけるのみこ)とその妻弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)の話と出会い、「愛と犠牲の不可分性への、恐れであり、畏怖であった」と分析して述べられています。

本書は読書指導を行う教師の入門書と言っても過言ではありませんが、単なる読書のすばらしさだけではなく、美智子様の「愛情」を越えた「愛深き祈り」のようなものを感じることができます。自分の人生をしみじみと考えたくなるような気持ちにさせてくれる一冊です。

今回の記事で皆さんは何を感じられたでしょうか?
今後もこくごスタジオでは、全国の先生からのおすすめの本を紹介していきます。
次回もお楽しみに!!

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