こくごレポート 第5回 大分県日田市立五馬中学校 ~「何を伝えたいか」という国語の資質・能力を古典の学習で~

2025.1.22

こくごレポート

第5回 大分県日田市立五馬中学校
~「何を伝えたいか」という国語の資質・能力を古典の学習で~

こくごスタジオ編集部

コトハ今回取材するのは大分県の日田市立五馬(いつま)中学校。
「自立と対話」に取り組む学校だと聞いています。さっそく取材に行ってみましょう!!

学校の紹介

五馬中学校は、東に大分県玖珠町、南に熊本県小国町と隣接し、中山間地区に位置する学校です。五馬中学校には「五馬魂」という伝統があり、「己に打ち克ち、ひたむきに目的を追求する根性」という言葉をだいじにしてきました。その伝統を受け、現在は<「五馬の誇り」をもち さらなる自立>を学校スローガンに、生徒たちが自らさまざまなことにチャレンジしている学校です。

日田市立五馬中学校


今回のクラスは…

3年1組の素直で元気な生徒たちの授業を見学してきました。小学校5・6年時は、担任の先生が学び合い学習に力を入れてきたそうです。中学校に入学してからも小中連携の観点から学び合い学習を継続しており、とても活発な対話活動ができるクラスです。
(小学校の先生がときどき様子を見に来るみたいですよ)

教室内には暖炉もありました。12月頭、情緒あふれる雰囲気の中、取材をさせていただきました。
授業を担当するのは、小野裕子先生です。

今回のクラスは…

今回のクラスは…


授業スタート

今日の授業は古典の定番「おくのほそ道」の、2つの俳句の比較から表現の工夫を捉え、俳句の創作活動に繋げる授業です。これまでの学習で、芭蕉の句を通して、表現技法の工夫や句に込められた思い、文章と句が組み合わされている効果について学習してきました。
それらを踏まえたうえで、この授業の課題を【芭蕉はなぜ「五月雨や年々降りて五百たび」を「五月雨の降り残してや光堂」に推敲したのだろう。】に設定し、推敲した理由や表現の工夫を考え、さらに自分の俳句を推敲していく授業展開です。
まずは、自分なりに「芭蕉はなぜ俳句を推敲したか」を考えさせます。(約7分)
その後、グループ討議に入り、各自の意見を出し合い、グループの考えをまとめ発表します。(約10分)


グループ討議での小野先生の声がけ

個人の意見発表では、「何がどうなったのか汲み取りにくいから」という意見が多い中、小野先生はグループ討議の途中で生徒たちにヒントを出していきます。

・2つの俳句を比較しよう。

・「五百たび」の「たび」って何かな?

・何から五百年経っているのかな?

・切字は何で使うのかな?等々

伝え過ぎず、考えさせる声がけを、生徒の様子を見つつタイミングよく行っていきます。

先生からのヒントを受け、生徒たちからは、「五月雨を強調せずに年々降りてを強調したかったのではないか」「推敲前の句だと何が500年経ったかわからない」「『五月雨が』が『五月雨や』だと、降っていることが強調される」「でも、推敲前の俳句の方が好き」など、活発な意見が出てきました。

グループ討議での小野先生の声がけ

グループ討議では、他の人の意見をしっかりと自分の意見に組み込み、グループの意見としてまとめていく一連の流れが自然とできていたのが印象的でした。


まとめから、深い学びへ

討議が終わると、グループごとにロイロノートを使って発表します。
「芭蕉は光堂が500年もの間、変わらずに残っていることを伝えたかったから推敲した」という発表がなされていました。
その後、「芭蕉の感動の中心は何だったか」「推敲の工夫のポイントは何だったか」「なぜ光堂をかきたかったのか」を生徒に問いかけながら、押さえていきます。
最終的に、押さえたポイント、グループでの討議や発表をもとに、「なぜ推敲したか」について、各自が考えをまとめていきます。それぞれのまとめは、教育支援ツールを活用しクラスで共有しました。

まとめから、深い学びへ

まとめから、深い学びへ

ここで終わらないのが小野先生の授業。
以前に生徒たちが作成した自分の俳句を推敲しよう!!という深い学びにつなげていきます。
生徒たちは、本時の学びをもとに、自分の俳句とにらめっこ!
最後はみんなの俳句を電子黒板に投影、素晴らしい俳句を共有したところで授業を終えました。


小野先生にインタビュー

小野先生 小野先生

Q 本日見せていただいた授業は古典作品の読みから俳句の創作に繋げているのが印象的でした。この授業をやってみようと思ったきっかけや、ねらいについて教えてください。

きっかけは、大阪で参観させていただいた研究授業で、このような展開の授業を見たことです。そこから少しアレンジを加えています。今回の授業では最後に自分の俳句を推敲させました。授業で学習し文化祭で掲示した俳句をこの授業の後に推敲させます。「自分の思いを伝える表現の工夫」に気づかせ、「俳句を使って伝え方を教える」「自分の俳句を推敲させる」というねらいがありました。

Q 本日の授業を振り返っていかがでしたか?

子どもたちが最初のグループで話し合うときに、光堂の変わらない様子との対比で前段の武士の無常、はかなさまで意見が出てほしかったです。小規模の学校なので7名で2グループでした。2グループとも芭蕉は「光堂」について書きたかったのだという方向に進んでしまい「はかない」の言葉は出てきましたが、対照的なものとして行きつくことができませんでした。そこまで子どもたち自身に気づかせるというところが、難しかったです。
今回は2グループだったのですが、5グループくらいあると想定外の意見が出てきて、そこを拾っていくとまた楽しい展開になってくるかなと思います。
子どもたちが「国語の授業が楽しいな」と思ってくれればいいなと思いながら、いつも授業をしています。

(取材日:2024年12月)

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