
2024.11.13
外国につながる子どもへの日本語指導を考える
外国にルーツを持つ子どもの増加に伴い、「日本語指導」の必要性についてニュースなどでも耳にする機会が増えてきました。でも、日本語指導って具体的にはどうすれば…? 日本語指導で使われる教材はさまざまありますが、今回は「リライト教材」をご紹介いたします。
「リライト教材」とは、子どもの日本語習熟度を踏まえて、教科書の文章を分かりやすい表現に書き換えたものです。
国語学習をしながら日本語指導も同時に行うことをねらいとしています。
【リライト教材】ごんぎつね(東京書籍株式会社「みんなにもっとNIMOT!(ニモット)」より)
リライト教材にはさまざまなかたちがあり、上に掲げた例は東京外国語大学と東京書籍が共同で作成したものです。
教材は、小学校4年生で扱う新美南吉「ごんぎつね」。
上段には教科書と同じ教材本文が載っています(ただし、全ての漢字に振り仮名を付けて、分かち書きにしたものになっています)。
そして下段が、リライトされた文章です。
リライト文には、どのような特徴があるでしょうか。
例えば「中山様のお城の下を通って、少し行くと、細い道の向こうから、だれか来るようです。」は、「向こうから、人が来ます。」とリライトされています。
一文が短くなっていますね。
東京外国語大学の先生は、リライト文の作成にあたって、次のような点に留意したとのことです。
★ 原文よりも短くする。
★ 複雑な文型や複合動詞、読解に直接関係のない部分、固有名詞は、可能な限り削除。
★ 会話部分の発言者名を、補足する。
★ 読解のポイントとなる語句や表現、物語の印象的なフレーズ、汎用性の高いオノマトペ、読後の話し合い活動で使ってほしい語句は、原文のまま残す。
今回ご紹介しているリライト教材では、補足が必要と思われる語句には、イメージがしやすいようにイラストで解説するといった工夫もしています。
学習させたい語句や文型をリライト文に含めておくことで、授業の中で日本語指導を行うこともできます。
リライト教材の作成にあたっては、苦労したり迷ったりすることも多いのが実情です。
東京外国語大学の先生は「特に物語文は、味わいある表現と日本語の難易度調整のバランスをとるのが難しい」「日本語教育の観点からは難易度が高いとされる語句でも、子どもにとっては身近でよく知っている語彙もあるため、言い換えるべきか迷う場合もある」と指摘します。
国語の学習では文章表現の読み取りが重要なこともあり、どのようにバランスをとるかは悩ましいところもあります。
日本語指導の実態は、地域などによってもさまざまで、先生自らが試行錯誤しながら教材を作っているケースもあるようです。
そのような中、今回ご紹介したようなリライト教材の良さはどのようなところにあるのでしょうか。
「日本語習熟度が低いという理由で、下の学年の教材を授業で扱っているという事例も耳にしますが、日本語の表現が易しくても、学年相当の知的レベルに合った教材を読めば、発達段階に応じた思考ができるはずです。クラスメートと同じ単元を学習することが、子どもの自信にもつながると思われます。」(東京外国語大学の先生)
リライト教材の活用が広がることで、誰一人取り残されない学びの保障につながってゆくことが期待されます。
(取材協力 大津友美・菅長理恵・浜田かおり(東京外国語大学))