「情報活用」を考える 「セット」で育む情報活用能力 第1回

2024.9.11

「情報活用」を考える

「セット」で育む情報活用能力 第1回

綱川真人(宇都宮大学共同教育学部附属小学校)

現行の学習指導要領において、〔知識及び技能〕として新たに設定されたのが、「情報の扱い方に関する事項」です。急速な情報化社会の中で必須となるこれらの事項を、子どもたち一人一人が自ら身につけていくために、単元の中で適切に位置づけ、指導することが大切とされています。第1回では、情報活用能力の育成を目標とした、1年生の実践をご紹介します。

1.〔知識及び技能〕の指導のポイント

今回取り上げる「情報の扱い方に関する事項」のような〔知識及び技能〕に示されている指導事項を子どもたちが確実に身に付けていくうえで重要なのが、「話す・聞く」「書く」「読む」といった、いわゆる思考し、判断し、表現する過程でそれらを身につけていくということです。

学習指導要領の「第4章 指導計画の作成と内容の取扱い」には、①「〔知識及び技能〕に示す事項については、〔思考力、判断力、表現力等〕に示す事項の指導を通して指導すること」。さらに、②子どもたちが「実際に話したり聞いたり書いたり読んだりする場面を意識できるよう指導を工夫すること」とあります。①や②を前提とした単元計画や実際の指導を通して、社会や実生活の中で、「生きて働く『知識及び技能』として習得すること」が求められています。


2.「情報」を定義づける

「情報の扱い方に関する事項」の「情報」とは、学習指導要領では「話や文章に含まれている情報」と記されています。一般的に情報というと、さらに広義な意味で使用されていますが、今回の指導要領の「情報」とは、情報媒体そのものというよりも、音声言語や子どもたちが取り扱う教科書や本などに書かれた文章(図表や挿絵なども含む)といった、媒体によって伝達される中身を指しています。

しかし、そうなると、発話も含めて、取り扱うもの全てが「情報」となってしまい、育成したい力や場面が曖昧になってしまいます。そこで、単元で扱う「情報」とは何なのか、単元のねらいや他の指導事項との関連を考えて焦点化し、定義付ける必要性が出てきます。

▼1年生の「読むこと(説明文)」と「書くこと」の実践を通じて

次は、「いろいろなふね」(東京書籍)の一節です。

「いろいろなふね」(東京書籍)の一節

「いろいろなふね」での実践では、扱う「情報」を「船の『役目』『造り』などについて書かれた語や文」と定義しました。低学年の「情報の扱い方に関する事項」は、アの「情報と情報との関係」のみであり、そこで示されている「共通、相違、事柄の順序など、情報と情報との関係について理解する」力を育成することと設定しました。

「いろいろなふね」は、「きゃくせん」「フェリーボート」「ぎょせん」「しょうぼうてい」の4種類の船について、「役目」「造り」などに関する説明が順序立ててなされています。それらについて記された語や文=情報、と定義づけ、文章の内容を整理するという活動を設定しました。

「いろいろなふね」で設定した「情報」の定義に基づいて、今度は「書くこと」に目を向け、情報を発信する力の育成を目指します。ここでは、さまざまな乗り物についての本や資料を読む機会を与え、お気に入りの乗り物についてカードにまとめたり、友達と交流したりする中で、叙述をもとにした乗り物どうしの共通点や相違点に繰り返し触れる場を作りました。ここで「セット」にした思考・判断・表現が、「読むこと」の「共有(文章を読んで感じたことや分かったことを共有すること)」です。

【紹介の内容を板書にまとめた例】

【紹介の内容を板書にまとめた例】

友達の紹介を聞いた感想などを尋ねたり、発言を「役目」「造り」などに分類し、乗り物への思いを上段へ板書したりしながら発言を整理したりすることで、事柄や考えの違いや共通点、相違点について視覚的に理解できるようにしました。

【教師が例示したシート】

【教師が例示したシート】

教師が見本となるカードを提示することで、子どもたちはそれに倣って情報をカードにまとめることができます。


3.課題と成果

最後に、実践を通しての成果と課題を述べます。

成果は、「お気に入り」という子どもたちから純粋に湧き出てくる思いを土台とした紹介活動を通してねらいに迫れたことです。「この船(乗り物)を紹介したい!」という思いを胸に友達と自ら交流し、分かったことや考えたことを伝え合う中で、「共有」の力や「共通、相違」の力を育むことができたと考えています。

しかし、一方で、「似ているところは?」「違いは何かな?」などの問いに、教師側の思いが強く出てしまい、子どもの思考とは離れたところでねらいに迫ろうとしてしまった点が反省点です。

一人一人の子どもたちが、伝え合うことで「相手はこんなところが好きって感じるんだ。自分とは違うな。」「この船は、確かにこんなところがかっこいいな。」と感じ、共有するよさを実感したり、共通点や相違点に着目して伝え合ったりする。それによって、相手がお気に入りと感じた事柄や思いそのものについて深く知り、そのことに価値を見いだすことできると考えます。

そのためにも、例えば、理想となるペア交流のモデル動画を作成し、選んだ船の共通点や相違点に着目して伝え合っている場面を用意することで、見通しを持つ機会を与える支援も有効だと感じました。また、お互いのお気に入りの理由を伝え合う中で自然と選んだ船どうしの共通点や相違点に気づき、交流している子どもたちの学びを、全体で価値づけたりすることも、より意識して行うとよかったと感じています。


4.まとめ

これからの時代に必要な情報活用能力。実生活に生きて働くそれらの資質・能力を子どもたちが確実に身につけていくために、魅力ある言語活動を設定し、思考・判断・表現していく過程で、「情報の扱い方」も育成していくことが大切です。「国語って楽しいな。」と教室の子ども一人一人が実感しながら学び、自ら力をつけていく授業を目指して、私自身も、これからも実践を重ねていこうと考えています。

第1回では、1年生の指導の実践をもとに、情報活用能力の育成のポイントをご説明いただきました。
第2回では、4年生の実践について、板書や作品例を豊富に交えながらご紹介いただきます。ぜひ、お楽しみに。

*本記事は、「小学校・中学校国語科『情報の扱い方』の全学年授業モデル」(2023年10月、明治図書出版)の内容を加筆・修正したものです。

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