ホンとの出会い 漱石山房記念館

2024.8.21

ホンとの出会い

漱石山房記念館

こくごスタジオ編集部

今回の「ホンとの出会い」では、新宿区立漱石山房記念館をご紹介します。夏目漱石は、新宿で生まれ育ち、そして新宿でその生涯を閉じました。漱石山房記念館は、彼が晩年を過ごした「漱石山房」があった地に建てられ、平成29年のオープン以来、漱石を愛するさまざまな方に親しまれています。

館内に入ってすぐ右手側には導入展示があります。ここでは、パネルや映像で漱石に関する情報を紹介しています。漱石の作品は知っていても、漱石自身についてはあまり知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この導入展示では、「学生時代」「動物」「家族」などの項目ごとに説明があり、漱石の人となりを詳しく知ることができます。

明るくカラフルな導入展示 明るくカラフルな導入展示

2階に上がるとまず、「漱石の言葉」として、作品や手紙の一節を記したパネルが展示されています。共感したり、心奪われたりするような言葉がたくさんあり、漱石作品のおいしいところを集めた展示となっています。ここから読んでみたい作品を見つけるのもよいかもしれませんね。奥に進むと、資料展示室があります。漱石の作品の紹介や、新宿区が所蔵する草稿、初版本などの資料展示が行われています。執筆している漱石の姿が目に浮かぶような、貴重な資料ばかりです。

また、資料展示室ではテーマ展示も行われていました。取材した時期に行われていたのは「『門』 ―夏目漱石の参禅―」という展示で、漱石と禅の関わりについて紹介したものでした。2024年7月11日〜10月6日の期間は「漱石山房記念館初版本コレクション」として、漱石山房記念館の所蔵する初版本が一挙公開されます。数々の美しい装丁は、漱石の作品をあまり知らないという方でも楽しめそうです。

そして、1階の再現展示コーナーでは、晩年の漱石が暮らしていた「漱石山房」の書斎が、忠実に再現されています。

書斎内の家具・調度品・文具は、資料を所蔵する県立神奈川近代文学館の協力により再現。書棚の洋書は東北大学附属図書館の協力により、同館が所蔵する「漱石文庫」の蔵書の背表紙を撮影し、製作された。 書斎内の家具・調度品・文具は、資料を所蔵する県立神奈川近代文学館の協力により再現。書棚の洋書は東北大学附属図書館の協力により、同館が所蔵する「漱石文庫」の蔵書の背表紙を撮影し、製作された。

洋書などの本がぎっしりと詰めこまれた書棚、なおもあふれて床に整然と積み上がった書籍の山が目を引きます。また、火鉢や文机などの執筆と生活の痕跡が、「今にも漱石が帰ってくるのではないか」と思わせるような臨場感と迫力を生み出しています。小説を書くという一面だけではない、湯を沸かし、墨をすり、本を読み、生活をするという、ここで実際に暮らしていた当時の漱石の姿に思いをはせることができます。

教科書にも載っている名作「こころ」をはじめ、「三四郎」「道草」「硝子戸の中」など珠玉の作品たちが、この書斎で書かれたといいます。

キャプションキャプションキャプション

展示の右側の窓際には、正面にあるものとはまた違った文机があります。こちらには筆とすずりが置いてあり、硬筆で書く原稿とは別に、毛筆を用いて、書簡や書などを書いていた当時の様子がうかがえます。いんしょうや魚の形をしたひっなどもかわいらしく並んでいますね。角度や視点を変えて、一つ一つよく見ていくと、さまざまな発見があって楽しめる展示となっています。

1階の導入展示で学べる漱石の生涯や生活、2階の展示で見ることができる作品の詳細や、原稿用紙に刻まれた漱石の筆跡、実際に着用していたとされる衣服などを、この再現展示の風景と結び付けながら見ると、より鮮やかに漱石の人物像が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

今回訪れた漱石山房記念館では、漱石にまつわるさまざまな展示を堪能することができます。さらに、漱石の作品や関連図書を閲覧できる図書室や、漱石ゆかりのスイーツを楽しめるカフェも併設。展示室以外でも、本に囲まれた穏やかで豊かなひとときを過ごすことができます。

併設されているカフェ「CAFE SOSEKI」 併設されているカフェ「CAFE SOSEKI」

ミュージアムショップには、かわいらしいトートバッグや、一筆箋などのオリジナルグッズが充実しており、展示で紹介されている書籍を購入することもできます。

さまざまな角度から楽しめる漱石山房記念館に、ぜひとも足を運んでみてください。

(取材 2024年7月)
写真提供:新宿区立漱石山房記念館


新宿区立漱石山房記念館

https://soseki-museum.jp/

〒162-0043 新宿区早稲田南町7

TEL 03-3205-0209

開館時間 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)

休館日 月曜日(休日の場合は、直後の休日でない日)
12月29日~1月3日
展示替期間

観覧料(通常展) 一般300円、小・中学生100円

(※施設情報は、取材日の情報に基づいています。)

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