
2024.6.26
ICT実践
「一人一台端末」時代となった今、改めてICTの活用について考えてみませんか? 当コーナーでは各地のICT実践を中心に、デジタルを活用した授業づくりについて考えてみたいと思います。今回は、新潟市立女池小学校の落合悠太(おちあいゆうた)先生による「書くこと」の実践を取り上げます。
国語科の授業に限らず、最近、あらゆる場面で「個別最適な学び」と「協働的な学び」という言葉を耳にしませんか。その中でも特に「個別最適な学び」について、その具体を知りたいと考える先生方は、多いのではないでしょうか。
「個別最適な学び」において、授業づくりのポイントは、「子どもたちに自らの学習方法や学習内容を選択・決定させる場面を作る」ことだと考えます。その際に、ICTを効果的に活用することで、学びを豊かにすることにつながります。今回は、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の視点から、タブレットを活用した国語科の「書くこと」における授業実践を紹介したいと思います。
これまで私は、「書くこと」の指導で、いくつかの難しさが存在すると感じていました。
例えば、文章を書くことが苦手な子どもへの支援です。教師主導の作文ではなく、自分で文章を書くことができたという達成感を味わってほしいと願います。しかし、記述をしていく場面では、対話が少なく、個人で書き進める時間が多いため、苦手な子が取り残されてしまいがちです。ほかにも、児童によって書くスピードが異なるため、一斉一律の指導が難しいことや、推敲に必要感をもてず、書いて終わりとなってしまう子も見受けられます。
これらの課題に対して、タブレットの強みである「共有」のしやすさが生かせるのではないかと考え、実践を行いました。
第5学年 37名
「反対の立場を考えて意見文を書こう」(令和2年度版『新しい国語 五』東京書籍)
自分の意見とその理由、反対意見への対応を明確にして、文章全体の構成や展開を考え、筋道の通った文章を書くことができる。
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次 |
時 |
学習活動 |
|---|---|---|
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Ⅰ |
1 |
○言語活動を知り学習全体の見通しをもつ。 ○意見文の特徴を理解する。 |
2 |
○賛成と反対の立場を意識して、説得力のある文章の書き方を考える。 |
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Ⅱ |
3 |
○書きたいテーマを決めて構成メモを作る。 |
4 |
○構成メモをもとに意見文を書く。 |
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5 |
○友達の意見文を参考にしながら、自分の意見文を書き進めたり、推敲したりしていく。 |
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Ⅲ |
6 |
○友達と意見文を読み合い、感想を伝える。 |
※本実践では学習支援アプリ「ロイロノート」を使用して行っています。(以下「ロイロノート」)
記述中は、黙々と個人で書き進める時間が多くなります。しかし、子どもたちの心の中には、「書き出しは、これでいいのかな。」「友達は、どう書いているのだろう。」など、実は対話の種がたくさん転がっています。そこで、段落が書き終わるたびに、ロイロノートの提出箱に記述途中の作文を随時提出させて、子どもたちが自由に友達の作文を読めるように共有しました。その意図を次のように子どもたちと共通理解していきました。
1.記述中に困ったことがあれば、自分の悩みにぴったり合う友達の作文を探して、参考にしてもよい。また、それについて友達に詳しく聞きに行ってもよい。
2.友達の進捗状況が分かり、自分の学習を調整する目安となるため、遅れている部分を自主学習や空いている時間に補ってもよい。
3.推敲するために、友達の作文と読み比べたり、書き終わった友達と読み合って助言を送り合ったりしてもよい。
<共有されている児童①~③の記述途中の作文>
子どもたちは、自身の必要感に応じて、どんな意図で共有されているものを活用しようかと、選択・決定しながら学習していく姿が見られました。
教師にとっても、記述中の作文を共有することは、子どもたちの進捗状況や作文の実際を把握することに役立ちました。子どもたちがどんなことを書いているのかを読んでおくことで、書くことが苦手な子への支援につながります。その際、次の3つの視点をもって文章を読みました。
A:何を書いているか(内容)
B:どのように書いているか(構成、形式)
C:どのような言葉で書いているか(表現)
手が止まっている児童に対しては、何に困っているのかを一緒に確認しました。その後、上記のどの視点を意識して、参考にする友達の作文を探すかの見通しをもたせていきました。
このように、教師が答えを与えたり、教えたりするのではなく、一緒に悩み、考えながら、子どもたちに選択・決定をさせていくことで、「個別最適な学び」を実現していきました。記述の時間は、孤独になりがちですが、本実践には共有を通して、必ず他者が存在します。ICTを最大限に活用することで、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図ることが可能となるのです。
<完成した作文>
ICT端末が当たり前のように授業で活用され、タブレットは文房具とまで言われるようになってきました。この新たな文房具は、無限の使い方ができます。今回は、その中の「共有」という機能にフォーカスしました。本実践では、教師が共有機能を使わせるのではなく、意図を子どもたちと確認することで、子どもたちが何のために共有機能を使うのか自分自身で選択・決定していく姿が見られました。これからも主語を「子ども」に据えて、そのために教師はどんな手立てをうつのかを考えながら、授業を構想していきたいですね。