本の世界を楽しむヒント 第2回「おはなし給食」を楽しもう

2023.10.18

本の世界を楽しむヒント

第2回「おはなし給食」を楽しもう

宮﨑伊豆美(東京学芸大学附属竹早小学校司書)

読書週間等のイベントも目白押しのこの季節。「こくごスタジオ」でも「本の世界を楽しむヒント」(全3回)をお送りします。第2回は、東京学芸大学附属竹早小学校の宮﨑伊豆美(みやざきいずみ)さんによる「おはなし給食」の紹介です。

「おはなし給食」ってなんだろう?

読書の秋ですね。
各地で読書週間のイベントなどが行われ、学校でも子どもたちに豊かな読書体験をさせたいと、さまざまな工夫をされていると思います。
今回は、食欲の秋にもぴったりな「おはなし給食」の取り組みを紹介します。

「おはなし給食」とは、本の中に出てくるメニューを給食で出してもらうというイベントです。「ブックランチ」とか「おはなしメニュー」などの名称を用いている場合もあるようですが、各地の小学校で広がりつつあるようです。
いずれも、給食の献立を考える栄養教諭等の協力が必須ですが、本を読んで「おいしそう!」と憧れていた食べ物を実際の給食として食べることができるので、子どもたちにも大人気の企画です。 給食への期待感が高まるので食育の面で有効なのはもちろん、本の中で経験した読書の体験と実体験がつながることで、より豊かな読書体験ができると感じています。

おいしい物語


さあ、「おはなし給食」をやってみよう!

⑴実施の前に

本校では、毎月1回「おはなし給食」を実施しています。
まず、前月までに栄養教諭と相談してメニューを決めます。栄養教諭から旬の食材を聞いて、ちょうどいい本がないか探したり、逆に「この本を使いたいけれど、こんなメニューは可能ですか?」など司書から提案することもあります。
献立と実施日が決まったら、予告ポスターを図書館に貼りだします。もちろん献立表や給食便りでも告知します。そして実施日近くの図書の時間には、その本を読み聞かせたり、関連の本を紹介したりして、食べたい気分を盛り上げます。給食の直前の時間などは、読み終わると「おなかすいた!」「早く食べたい!」など悲鳴のような声が上がり、給食への期待感がググっと盛り上がります。

⑵実施の例:7月「カレーライス」

7月に実施したのは『給食室のいちにち』(大塚菜生/文 イシヤマアズサ/絵 少年写真新聞社 2022)。
給食室の仕事の様子を丁寧に描いた絵本です。今回はお話の中で作られるメニューをそっくりそのまま給食のメニューとしました。
メインメニューはカレーライスです。細かな描写から衛生管理に気をつかう調理員さんの大変さがよく伝わってきます。
子どもたちにも、いつも当たり前に食べている給食のありがたみがよくわかったようでした。当日は、カレーライスが出来上がっていくおいしそうな場面を読んでいるとき、実際に給食室からいい匂いがしてきて、みんなでお腹を押さえてしまうほどでした。
ほかの給食が出てくる本なども紹介すると、とてもよく借りられていました。

給食室のいちにち

⑶実施の例:9月「なすのみそ炒め」

9月には、『そのときがくるくる』(すずきみえ/作 くすはら順子/絵 文研出版 2020)という本の中からなすのみそ炒めを作ってもらいました。
全部読むには少し長い本なので、途中まで読み聞かせます。
なすが苦手な男の子が主人公のお話で、なかなか食べられずに困っているとき、おじいちゃんに「そのうちおいしく食べられるときがくるさ。」と言ってもらうのですが、ここまで読んだ後で「さあ、主人公は食べられるようになるかな? 続きは自分で読んでね。」と伝えると、その場で続きを読んだり、貸出予約をしたりする子の姿が見られました。
また、聞いてみると本校の児童でもなすが苦手な子が多かったのですが、当日の給食中に教室を回ってみたところ、「食べてみる!」とその場で食べて、「食べられるようになった!」と嬉しそうに報告してくれた子もいて効果抜群でした。


「おはなし給食」のネタ探しは子どもたちから

こうして子どもたちの中でもすっかり定着しているおはなし給食ですが、毎月行っていると、だんだん困ってくるのが、本のネタ探しです。
そんなときには子どもたちからリクエストを出してもらいましょう。昨年の秋に学校図書館として行ったのが、「食べてみたいおはなしメニューは?」という展示企画です。

まず、おいしそうな食べ物が出てくる本を集めて並べた「おいしい物語」という特集展示を行います。併せて子どもたちが食べてみたい食べ物と、出てくる本の題名を書くカードを用意します。
ハロウィンの時期に合わせたので、カードもかぼちゃとおばけの形にしました。室内の装飾にもなり、一石二鳥です。

おいしい物語「食べてみたいおはなしメニューは?」

読み聞かせの時間にも、おいしそうな場面が出てくる本を読み、関連の本を紹介しました。
その後、子どもたちにカードについて知らせると、たくさんの子が本を探してカードを書いてくれました。低学年の子たちは、食べ物の出てくる本も、かわいいカードを書くのも大好きなので喜んで書きますし、高学年の子も、昔読んでもらったあの絵本のあれが食べたかった、などと懐かしい絵本を探して来ており、読書の振り返りの機会にもなったと感じました。

学校図書館もかわいいカードでいっぱいになり、とてもにぎやかな展示となりました。子どもたちが選んだものは、大好きなスイーツだったり、釣り好きな子が釣魚の本から食べたい魚の名前を出していたりと想定外のものも多く、給食にできるものばかりではなかったのですが、栄養教諭にも見てもらい、その後のメニューに採用してもらっています。

昨年のクリスマスのメニューには『つるばら村のパン屋さん』(茂市久美子/作 中村悦子/絵 講談社 1998)のクリスマスのパンが出ましたし、今月もこのとき人気の高かった「ルルとララ」シリーズの『ルルとララのカップケーキ』(あんびるやすこ 岩崎書店 2005)からオレンジのカップケーキが出るということで、子どもたちも私も楽しみにしているところです。

おはなし給食

子どもたちがとても喜ぶ「おはなし給食」。本の楽しさを伝えるのにとても効果があります。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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