本の世界を楽しむヒント 第1回「聞く」読書を楽しもう

2023.10.11

本の世界を楽しむヒント

第1回「聞く」読書を楽しもう

松岡みどり(東京学芸大学附属小金井小学校司書)

読書週間等のイベントも目白押しのこの季節。「こくごスタジオ」でも「本の世界を楽しむヒント」(全3回)をお送りします。第1回は、東京学芸大学附属小金井小学校の松岡みどり(まつおかみどり)さんによる「読み聞かせ」の紹介です。

読み聞かせのススメ

本があればいつでも行うことができるのが、読み聞かせの魅力の一つ。楽しみを増やす感覚で読み聞かせをしてみませんか?
朝の会や帰りの会の時間に行ってもよいですし、単元に関連した本なら授業の時間に読み聞かせを入れてもよいです。おすすめは朝の会などの授業前。一つ、お話を聞くことで、授業へのスイッチが入りやすくなります。
ある先生は、毎週月曜日の朝に読み聞かせをしていたそうです。
ちょっとしんどい気持ちになりがちな週の始まりでも、「月曜の朝は読み聞かせがある!」という登校のモチベーションになればと考えて、実施していたというお話を伺ったことがあります。学級の中で読み聞かせの時間が、気持ちの切り替えに活用できるといいですね。


読み聞かせのポイント

ここから少し具体的な読み聞かせの方法についてご紹介します。

⑴本の選び方

本を選ぶときは、季節や学校行事に関連づけてもよいですし、昔から読み親しまれている作品、最近話題の作品、教科に関連したテーマの本など、さまざまな角度から選ぶこともできます。
ですが、なんでもよいわけではなく、時間内に読み終われるか、後ろの子までちゃんと見えるかなど事前の確認は必要です。
絵本の場合、見開きの中でコマ割りのように場面が分かれていると読みにくいものもあります。小さなサイズの絵本だと、集まって読む場合には後ろの子まで見えない場合があります。内容を確認しながら一度下読みをしておくのをお薦めします。本がなかなか決まらないときは、学校図書館や公共図書館の司書さんに相談してみてください。

⑵本の持ち方

本の持ち方は、本の下部、のどの部分をしっかりと持ってぐらつかないようにします。読み手の体で絵本が隠れてしまったり、絵本が前に傾いてしまったりすると見えにくくなってしまうので注意します。

読み始めには表紙をしっかり見せて、書名(タイトル)を読み上げます。読み終わりもきちんと閉じ、裏表紙も見せて終わるようにします。
ページをめくる手が絵本の邪魔にならないように、ページの下の端からめくります。ページを「迎えにいく」と手で絵本を遮ってしまうので、ページを「送っていく」イメージでめくります。

⑶本の読み方

読むときは、ゆったりと丁寧に読みます。読み手にではなく、本の世界に集中できることが大切なので、声色を使ったり大げさに演技をしたりする必要はありません。ページをめくるタイミングに緩急をつけたり、声のトーンやスピードを少し変えたりして、子どもたちの想像力に手助けをする気持ちで読んでみましょう。声が聞き取りやすいと物語にもすんなり入り込めるのではないでしょうか。


読み聞かせは低学年のもの?

中~高学年を受け持っている先生にも読み聞かせをお薦めします。
低学年には読み聞かせをするけれど、大きくなったら必要ないのではないか? という見方もあるようです。私は、聞くことも大切な読書活動の一つだと考えていますので、年齢に関係なく「聞く読書」の時間を作ってほしいです。「聞く力を育てる」と力む必要はありませんが、楽しく身についたら嬉しいですね。

絵本には高学年~大人にも読んでほしい本がたくさんあります。絵本でなくても字面を目で追って読むのと、耳で聞くのとでは違った楽しみ方ができる作品もあります。クラスの仲間と共有することで新しい発見ができることもあります。
中~高学年だからといって長いお話を読む必要はありません。詩集から一篇、短いお話を一つ、という形もよいと思います。 また、中~高学年だからこそ長編の物語を少しずつ読んでいく、というのも、学級での読み聞かせだからこそできる方法です。形にとらわれず、それぞれの学級のスタイルに合った読み聞かせをしてみてはいかがでしょうか。


読み聞かせのアイディア

図書の時間にアーノルド・ローベルの「おちば」というお話(『ふたりはいつも』収録・文化出版局)を司書と担当の先生二人で読み聞かせしたことがあります。がまくんとかえるくん、登場人物が二人だったので、がまくん役とかえるくん役に分けて読みました。読み聞かせとしては異例の形かとは思いますが、一人で読むのとは違ってキャラクターを対比させることができたのでおもしろいな、と感じました。

最後に、コロナ禍に密を避ける工夫をしたことで行うようになった読み聞かせの方法のうち、今後も活用できるものを紹介します。書画カメラを使って絵本を映し出すことです。座席を移動しなくてもみんなで絵本を見たり、モニターに映すことで小さいサイズの絵本も大きく拡大して見たりすることができます。また、細かく描き込まれた絵本なども大きなモニターに映すことで違う見方ができます。

読書の秋に「読む」読書といっしょに、ぜひ「聞く」読書も楽しんでみてください。

東京学芸大学学校図書館運営専門委員会で運営している「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」では、学校図書館を活用した授業の実践事例の他、読み聞かせについて紹介している記事も掲載されています。ぜひご活用ください。

※読み聞かせについて、より詳しく知りたいという方は書籍なども参考になさってください。
『教師用指導書 読書指導のてびき』 東京書籍
『よみきかせのきほん 保育園・幼稚園・学校での実践ガイド』 東京子ども図書館

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