
2023.1.25
授業作りQ&A ③
国語の授業作りでの、悩みごとや疑問はないでしょうか? 本記事ではテーマごとに、解決のためのアイディアやヒントを紹介していきます。第3回のテーマは「情報の扱い方」。関西学院初等部の森川正樹(もりかわまさき)先生に、そのポイントを紹介していただきました。
めざせ、授業の「アップデート」!
※当記事は、「教育シリーズ:国語の授業作りQ&A」(2022年10月発行)の記事を再構成したものです。




学習指導要領の〔知識及び技能〕「⑵情報の扱い方に関する事項」のキーワードを抜き出してみましょう(図1)。「情報と情報との関係」と「情報の整理」の二つの内容で構成されています。
図1
学習指導要領の解説には、「話や文章に含まれている情報を取り出して整理したり、その関係を捉えたりすることが、話や文章を正確に理解することにつながり、また、自分のもつ情報を整理して、その関係を分かりやすく明確にすることが、話や文章で適切に表現することにつながる」と書かれています。これらは、従来行われてきた学習活動にも含まれていたもので、全く新しいものというわけではありません。しかし、情報の理解や活用に課題があり、「情報の扱い方」をより意識的に学んでいくことが求められているのです。そのために、図1で示したような観点に着目することが大切です。
ここでは、学校現場でよく取り組まれている「○○新聞を書く」という活動を例に、「情報」へのアプローチのさせ方について触れていきたいと思います。
新聞にまとめるということは、まずは何を伝えたいか、という「相手意識」に始まり、そのために情報を「収集」し、集めた情報の中から「選択する」…などと続く一連の行為です。指導する際は「相手意識」を意識させるような段階を追った指導と言葉がけが大切です。
新聞ならば、「誰に」向けて発行するのかを、書き手であるクラスの子たち全員が認識していることが大切です。クラスの仲間に向けて、学年の仲間に向けて、全校に向けて、町の人、自分の保護者……と、「誰に」という意識があるからこそ、書きぶりも変わってきます。次に「何を」です。クラスの仲間に自分の学びを共有するのか、「~をしてください」といった呼びかけや願いがあるのか、新事実の発見を伝えるのか……。そして「何のために」にです。知ってほしい、意識を向けてほしい、~というアクションを起こしてほしいなど、目的を意識させます。
これらは、新聞を書く用紙とは別に、自分のノートに文字化させておくことで明確になります。「誰に→四年一組のお家の人」「何を→四年一組の学びの成果」「何のために→報告してお家の人たちをおどろかせちゃう!」というように具体を記録します。口語調になっても構いません。ノートに自分の立ち返る場所が明記されていれば、すぐに書き始めの時の立ち位置に戻らせることができます。これら「誰に」「何を」「何のために」ということが意識されて、まずスタートラインに立つわけです。
その上で記事の中からいちばん伝えたいことを「中心」として取り出し、相手に合わせて小見出しを考える作業が生まれます。前述の「四年一組の学びの成果」を記事にするとき、その中で特に伝えたい「中心」は、「全員発表できた」となると、小見出しは『全員発表!すごいぞ四年一組!』にしよう、という具合で学びは展開されます。
ただ写しただけにならない意識の出発点が、「引用」です。自分の言葉なのか調べたものなのかを区別させるためにも、「引用」は必要です。そのために、文章や写真や絵などをそのまま使うことを「引用」と呼ぶことを教え、以下のようなルールを子どもたちに伝えます。
●引用文には「 」を付ける。
●丸ごと写さない。
必要な部分だけを元のまま抜き出す。
●出典について書く。
(著者、書名、出版社、発行年、ページなど)
情報は身の回りにあふれているので、自分の言葉なのか、自分で撮った写真なのかなど、混在してしまいます。著作権についても正しく伝え、学年に合わせてきちんと「引用」を意識させて調べ学習やレポート学習に取り組ませたいものです。
次によく見受けられるのは、「調べたことなのか、自分の考えなのかがわからない」というケースです。情報を扱う際に大切なのは「事実」なのか、「自分の考え」なのかということを意識して活動していること。これも意識していなければ、ただ書き写しているだけになってしまいます。「事実を元にした、自分の考え」を意識させましょう。
おすすめの方法は、調べたことを書いた後に、必ず「自分の考え欄」を作らせるというものです。私は子どもたちに、ノート見開き2ページに関心を持ったことをまとめる「自学」をさせていますが、そのときに話すのは、「ノートの最後の部分に自分の考えを書きなさい」というものです。この方法なら低学年でも「事実と考え」を区別する習慣が身につきます。新聞にまとめる際も、同じようにさせます。
SNSなどで情報が身の回りにあふれている中、その情報が信頼できるものなのかを吟味する目を子どもたちは持たなければなりません。
そこでだいじになってくるのが「出典」という観点です。書籍は刊行されるまでに何人もの目を通して作成される場合が多いですが、SNSでの発言は発信者一人の考えや判断によるものも多く、不確かな情報も多く存在するので注意が必要です。時間があるなら、情報を複数の媒体で調べたり、その情報に対して意見を交わしたりしましょう。
これまでは情報こそが価値のあるものでしたが、インターネットが普及した現在、情報はいつでも手に入るようになり、情報そのものに大きな価値はありません。大切なのは、自分にとって価値ある情報を選択し、どう活用するかです。情報を「見つける目」と、情報を「つかう腕」を、発達段階(学年)に合わせて身につけさせていきましょう。