
2022.12.21
授業作りQ&A ①
国語の授業作りでの、悩みごとや疑問はないでしょうか? 本記事ではテーマごとに、解決のためのアイディアやヒントを紹介していきます。第1回のテーマは「単元の導入」。筑波大学附属小学校の弥延浩史(やのべひろし)先生に、そのポイントを紹介していただきました。
めざせ、授業の「アップデート」!
※当記事は、「教育シリーズ:国語の授業作りQ&A」(2022年10月発行)の記事を再構成したものです。




新しい単元の学習を始めるとき、どのようなことに留意して、どのような問いかけをしていますか。単元の導入は、学習に主体的に取り組ませたり、学習してきたことの定着を確認したりするために重要です。単元の学習に取り組む最初の授業において、それまでに学習したことを確かめ、何をどのように学ぶかを明確にすることで、見通しを持って学習に取り組むことができます。
そのために忘れてはならないことがあります。それは、「学びに対する必要感」があるかどうかで、子どもたちの主体的に取り組む姿勢に差が出てくるということです。子どもたちが、その教材を前にしたときに「やってみたい!」と思えるような工夫をしていきましょう。
ここからは、物語教材の導入を例にして、具体的に考えていきたいと思います。物語教材の本文の前に、教材名や挿絵などが入った「とびら」といわれるページがあります。「読むこと」の学習では、とびらなどを活用してこれからの学習を見通すことが何よりも大切です。
とびらの教材名や挿絵は、教材文への興味関心を引き出し、物語の世界へ子どもたちを誘うきっかけとして使うことができます。これから教材文を読む、もしくは教材文を一読した子どもたちに、題名や挿絵からどんなことが読み取れるか、どんな物語だと思うか考えを出し合わせ、想像を膨らませるよう促します。単元によっては、物語の読解に必要な前提知識などを共有しておきます。
学習したことをしっかり定着させるには、既習事項の確認と学習計画の共有が重要です。既習の内容を想起し、これから学習する単元に生かしたいことを考えることは、自らの学習の積み重ねを意識することにつながります。また、めあてや活動内容など、授業の計画についてクラス全員で考えたり共有したりすることによって、子どもたち自身が見通しを持って意欲的に学習に取り組むことができるでしょう。

加えて、物語教材の単元導入は、物語の全体をとらえるというところがポイントになります。そのために必要になるのは音読です。まずは、全文を一人で読ませたり、2文ずつ句点で交代するリレー音読を行ったりするとよいでしょう。1回目の音読で「よく分からない言葉」や「読みにくい言葉」に線を引かせます。2回目の音読では、登場人物を囲むなどして確認し、その中で中心人物は誰かを意識しながら読ませるなど、音読に意味を持たせるといいですね。
まず、物語の設定をとらえましょう。物語の設定は、「時・場所・人物」の大きく三つに分けることができます。「時」はいつの話か、「場所」は物語が主に展開される場所はどこか、「人物」は登場人物は誰かということになります。この三つを意識しながら読み進めることで、物語の場面が分かるようになります。なぜなら、「時」「場所」「人物」が変わるところで場面も変わるからです。場面の移り変わりをとらえることで、物語の中で起きる出来事を読むことにつながっていきます。
設定をとらえた後は、改めて物語の全体を押さえるといいでしょう。そこで必要になるのは、物語の最初と最後で何が大きく変わったかを押さえることです。例えば、2年生で学習する「お手紙」では、がまくんとかえるくんの気持ちが最初と最後で大きく変わっていることが分かります。子どもたちは、「ああ、これはかえるくんのお手紙がきっかけでがまくんの気持ちが変わったのだな」と読みます。ですから、学習では、がまくんとかえるくんがそれぞれの場面でどんな様子であったかを読んでいく必要が生まれます。
その後、それぞれの場面での人物の様子(話していること、行動など)を押さえていくのです。物語は、最初と最後で大きく変わると言いましたが、それは「主に中心人物の気持ちや考え方」です。「かさこじぞう」や「一つの花」のように、人物を取り巻く世界(環境)が変わることもありますね。高学年の物語になると、「変わるもの」と「変わらないもの」に分けて読むこともできます。
物語を読む学習において、こうした変化を読めることは大切な言葉の力になります。「何が」「どのように」「どうして」変わったのかということを、低学年のうちから読めるようにしていきましょう。そのためには、学びの積み重ね(系統的に指導していくこと)が重要になるのです。